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THE K2 ー悪女であり孤独な寂しい女ユジンと狼ジェハの物語

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THE K2  16話 (2016年 tvN)

ヒーロー、ヒロインに酔うドラマではなく、ソン・ユナ演ずるチュ・ユジンとジェハの緊迫したシーンに吸い寄せられ、その緊張感に圧倒されたドラマでした。

ボディガードアクションドラマというコンセプトと童話の白雪姫がモチーフになっているという「THE K2」

すごく感想が書きにくいドラマです。「なぜか?……………」

メインテーマのOSTの曲が全てを語っていると感じたから。

壮大すぎるなんて評価もあるようですが。
「王女の男」のメインテーマ、「destino」を聞いた時と同じ感覚が蘇ってきました。

 

「愛…無情…運命…復讐….絶望….」 これらの言葉が心に染み込んでくるようなメインテーマの曲です。
他のOSTも、深い森の中でもがき苦しみ、逃げ出そうとするが恐怖心が描かれています。胸が熱くなる曲ばかりです。

「Anemone」はアンナとユジンのシーンに流れるOST。

 

どんな歌詞なのか?

純粋な女の子は深い森でオオカミと出会いました。
彼女はまだオオカミが怖い動物だとは知らなかった。
彼女は美しい花を見つける。
と彼女の耳元でもっと美しい花が欲しければ、もっと奥深くに行きなさいと。

歌詞を読むと純粋な天使のような女の子、アンナと思いましたが、後半はユジンのシーンでほとんど流れています。
ユジンも初めはアンナのような女性であった。でも今は。。。という意味合いが込められているようです。

少女時代、まだまだ垢にまみれていない純粋無垢な時代だったということはみんな大人になって感じる事です。そう大人になるって純粋ではなくなり、身体や心にたくさんの物を背負いこんで生きなくてはならない事で、それに負けてしまう人もいるし、それから逃げる人もいるし、戦いながらも懸命に生きる人もいる。

ジェハは、戦闘のプロ中のプロでありながら、じつはPTSDで人を殺せないという設定。人を殺すことができないジェハは、相手の戦略を先に読み取るか、長年の経験からくる察知能力で戦うか、体を武器にして戦うことでしか生き残れない悲しい性です。アンナのボディガードとしてユジンに雇われます。
アンナは、純粋な天使の顔をしながら、「愛」さえも復讐の手段とする女になってしまいますが、ジェハが守りたい女。
ユジンは、純粋な天使だったのに魔女になってしまった女、ジェハが守らなければならない女

この3人の生き様が中心の物語ですが、ユジンと夫セジュンの絶対権力への野望を中心に展開する事件を痛快なアクションとともに描くドラマです。

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あらすじ

バルセロナの石畳を素足で逃げ回る少女の緊迫した場面から始まる「THE K2」。スペインの修道院に幽閉され、逃げ出した少女アンナ(イム・ユナ)
同じように警察から追われている男キム・ジェハ(チ・チャンウク)と出会う。ジェハが韓国人であることが分かったアンナは必死になって助けを求める。
ジェハは元戦争傭兵出身で、赴任先で最愛の恋人を殺される。その罪を着せられ国際手配されているジェハには、アンナを助けることができない。
韓国に帰国したジェハは、日雇い労働者として働くが、大統領候補であるチャン・セジュン(チョ・ソンハ)のオフィスへ仕事で行った時、襲撃事件に巻き込まれてしまう。
その時の活躍を認められ、大統領候補チャン・セジュンのボディガード「K2」として働くことになる。キム・ジェハという名前も与えられました。
バルセロナで助けを求められた少女アンナは、その大統領候補チャン・セジュンと愛人との隠し子であり、今は彼の妻のチュ・ユジンに匿われています。
そのアンナのボディガードを命令されるジェハ。
走る走るジェハ、血まみれのジェハ、痛快なクションドラマとジェハを取り巻く人間関係が4話まで描かれました。
アンナの絶望感、ジェハの生きることへの絶望感、大統領選挙がらみの絶対権力への欲望、チャン・セジュンとチュ・ユジン仮面夫婦の関係、アンナの母親の死の真相と非常に毒々しい人間関係を描いていきます。

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5話からは、ユジンとジェハから目が離せません。

ユジンを燃えさかる車から助け出すシーン、ユジンの窮地を救い傘を差し出し、「毅然と歩いて」とユジンを守るジェハ。
ユジンは、ジェハを狼、自分で考えて動く動物だと感じたのです。
彼女の周りは、彼女を崇拝して指示を仰ぎ、命令のままに動く猟犬ばかりだったからです。
ジェハを一人の人間として初めて心を開いたユジン。

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6話で教会で歌う「Amazging Greace」

怯えていたアンナが動き出します。美しくて悲しいアンナ、それを見つめるジェハ、苦々しい思いを噛みしめるユジン。

 

A queen of the forest

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ついに権力の空間、ユジンが支配するスーパーコンピュータのある空間「クラウドナイン」にジェハが招かれます。「鏡」の世界に。深い森に。。

7話 アンナと父の真実

アンナはジェハから差し出されたいちごアイスクリームでアレルギー性の呼吸困難に陥るでもそれは父チャン・セジュンから渡されたものでした。父はアンナのアレルギーを知っていた。父に見捨てられたことを知り、自暴自棄になるアンナ。母を死の原因であるユジンへの復讐心だけで動く女になってしまう。ジェハの保護の元、ユジンを憎む叔父チェ・ソンウォン(イ・ジョンジン)に利用されながら。
これからが、アンナの全然存在感が無くなってしまいます。ただ、ジェハの足手まといになる恋人に成り下がってしまいました。
物語を始めるためのキャラクターだったアンナ。

つい最近まで見ていた「雲に描かれた月明かり」もそうでしたが、イヨン(パク・ボゴム)との愛が本格的に始まると、ホン・ナオンは、あれだけ輝いていたナオンではなくなりただの常識的な女子になってしまい、さらに“逆賊”ホン・ギョンネの娘というナオンは、イヨンに政治的にお荷物になるだけの女子になってしまっている。それからが面白くなかった。「魅力的な男性」を作り出すには、お互いの愛を確認した時から、受け身になってしまう女子に変化してしまう脚本に、もううんざりしました。
やはりナイトに助けられるお姫様は、受け身ではなくてはならないのが定めなのでしょうか。
ジェハとアンナ、ジェハとユジンを対照的に描こうにも、あまりに差がありすぎて、ジェハとアンナはビジュアルを満たすだけの要素にしか見えない。

ユジンとのシーン、切羽詰まった言葉では表現できないような世界に閉じ込められそうなのに。
何も語らなくても表情で物語るユジンとジェハのシーンは圧巻です。
恋人を守る世界の時は、前作「ヒーラー」の時の方がずっと素敵だった。
「ヒーラー」のジョンフは、心を閉ざし暗闇の世界を暴く仕事をしている男、「THE K2」は世の中に絶望している男。
「ヒーラー」は姫によってその暗闇から逃げ出し、世の中に向かって胸を張って行き始めた男の物語。
「THE K2」は、姫と魔女を助け出す男の物語。だからロマンスなんて水面下で起きている権力闘争や、爆弾まで持ち出す人間の欲望闘争の下では無意味な感情。愛や恋よりも、もっと深い、もっと暗い、執着と断絶と絶望の世界に身を置くヒーローをチ・チャンウクは演じたかったのかな〜なんて勝手に想像しています。だって「ヒーラー」も「THE K2」ヒロインを守り抜く男のドラマですからね。どちらも名前ではないコードネームというところもそっくりです。

8話以降14話までは、大統領候補戦の権力闘争に巻き込まれるジェハ。

そこでジェハを陥れたもう一人の大統領候補パク・グアンスとユジン率いる権力集団JSSグループの闘争にも巻き込まれる。ジェハとアンナの恋の進展も描かれますが、心はときめかずです。

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11話、ユジンとセジュン夫婦の罵り合い。

ユジンの切羽詰まった感情が溢れ出します。ユジンの孤独感、閉塞感が身にしみて息が詰まりそう。大統領になるためにユジンを利用し、アンナの母も見殺しにした夫セジュンへの屈曲した愛にどうしようもなく切ない感情が沸き上がるのです。
ジェハを想い、化粧を直し、口紅を選び引くユジン。なんてエロティックなんでしょう。ジェハはその時にアンナとラブラブでしたが……..
ユジンの閉塞感、孤独が丁寧に描かれていて心に染みていきます。
孤高の悪女、ユジン。

12話のアンナのファッションショー

天使の羽をつけて、必要のないシーン。

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14話 助かったジェハはユジンを一気に崖から突き落とすような言葉を言う。

ジェハ   哀れみの涙を流したことはある?
ユジン   私の人生は涙の連続よ。
ジェハ   自己憐憫ではなく、他人への哀れみです。
ジェハ           ないでしょ。あなた方は、自分の痛みには敏感くせに他人の痛みには鈍感なんだ。あなた方と同じように僕らも幸せを夢見ている。
ユジン   誰もが幸せになりたがる。
ジェハ   各自の立場を守るためにあなた方は簡単に人を殺す。だからあなたとは友達になれない。それにあなたが求めているのはキム室長のように崇拝してくれる人か、自分が崇拝できる人だ。若い頃のセジュン議員のように。悪いが僕はどっちにもなれない。

緊迫したシーン。魔女は心を許した狼に体の芯から喰われそうになるのを必死にこらえています。魔女ユジンは、今まで彼女の取り巻きの声をこんなに聞くことがあったでしょうか。すべて彼女の支配してきたのですから。唯一、夫セジュンとジェハにしか見せない心の叫びですから。
残酷なジェハの言葉に、ユジンの心はずたずたに切り裂かれます。でも、ジェハの表情も凍りついているように見えます。

ジェハは、ユジンを理解していたのです。でもジェハには守りたい人がいる。ユジンとも闘争しているのです。そんなジェハとユジンの複雑な関係。これは愛でも恋でもない。身震いしてしまいそうなシーンです。でもユジンがかわいそう、魔女になって唯一心を開いた男なのに…..

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15話、魔女が魔女らしく滅びる。

ユジンの全てであったクラウドナインをチェ・ソンウォン(イ・ジョンジン)がクラウドナインを襲った。 爆弾と共に。一緒にいたジェハとユジンは、再び手を握った。 だが、ジェハは危機の瞬間にもアンナの安否を心配し、ユジンはまた再び傷ついた。 彼女がジェハをボディーガードと同時に男として頼っていたから。

「鏡は私自身、それはあなたのもの」ユジンがジェハに言う。クライドナインは鏡の城、ユジンが閉じこもる王国です。魔女として君臨する城であらゆる情報やデータが蓄積されたスーパーコンピューターの城です。そしてそれはユジンのすべてが詰まっている城です。それをジェハのものだというユジン。監獄のような城を守ることが彼女の生きている証のような象徴のクライドナイン。

ジェハは、「誰でも″鏡″の権力を経験すればクラウドナインを自分のものにしたいという欲望の虜になるでしょう。だからあなたはクラウドナインを支配する魔女であり自分自身もクラウドナインに捕虜になってしまったんです。もうここから出てください。」と……………….

アンナを守ろうと自分の後頭部を打ったジェハに、ユジンの感情は複雑だった。 自分のために体のみで格闘するジェハを見て、過去に彼と共にした時間を思い出した。 自分を殺すとして銃口を向けた瞬間、爆破される自動車から自分を救った瞬間、裏切られた瞬間に傘を差してくれた時まで。ユジンがあまりにも切なくて胸が痛くなります。

ジェハを男として頼ったユジンの感情が、一本のフィルムのように通り過ぎた瞬間。ユジンは、背を向けジェハに「私たちはもう少し良いタイミングで会うべきだったのに。さようなら。」
その時のユジンの表情の切なさ、虚しさ。

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ますますユジンの存在感が溢れ出します。

殺人も躊躇しない毒性があり、悪いユジンだが、ジェハの前では限りなくもろくて硝子のような女だった。 自分の全てだった鏡は君のものと言ったチェ・ユジンの言葉。 愛しているという告白より、もっと濃かった。

16話は、ユジンのセジュンへの愛の残骸の最終章。
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「たぶん自分の選択が間違っていたと認めることが怖かったからでしょうね。亡くなった父に私の選択は正しかったと証明したくて。たとえその選択が間違っていたとしても、私は過ちを挽回できるんだと証明したくて」

ユジンに愛を囁いて深い森に連れて行ったが、愛をささやいた女はユジンだけではなかった。
それが許せないユジンは、セジュンを恐怖と財力でしか支配できない女になってしまった。
セジュンへの愛に絶望したユジンは、絶対権力や野望で身を焦がす魔女になってしまった。
人との関わり合いを恐怖を与えることでしか支配できない魔女へ。

それもセジュンへの愛が間違っていなかったということを証明したかっただけ。

ソン・ユナの圧倒的な存在感と演技が最後まで光るドラマでした。

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夫の浮気に耐え、良妻賢母を演じているユジンですが、実は自身の野望を満たそうとする冷酷な女性でした。
夫セジュンを大統領にするために手段を選ばない女ユジン。
実家の財閥JBグループを自分の手中に収めたいユジン。
ユジンは、勉強家で一途な性格な女性でしたが、セジュンに恋してしまい、実家も全て投げだして彼に尽くしたのですが、彼は浮気者で、女にはだらしない男でした。ユジンに近づいたのも、野心からだったのでしょう。
彼女はそんな男を愛してしまった絶望感から生き抜いてきたら、魔女になってしまったのでしょう。
野心、野望を貫くために冷酷な人間になってしまったのです。
アンナの母はセジュンの愛人で女優でした。アンナを修道院に幽閉したのもセジュンのスキャンダルを恐れたからです。
ユジンは、父の継母に育てられ寂しい経験もしていますね。きっと暖かい家庭を望んだんでしょうね。昔のユジンは….

不思議なのは、天使の時と悪人の時のソン・ユナは、いずれも優雅でした。 いつも品格のある天使、あるいは悪女でした。
ソン・ユナの演じた悪女ユジンは、どんな時にも冷静さを失わずに、淡々と事件を解決していきました。
物語の流れとその瞬間の感情を、ソン・ユナは顔の表情と目つきでひきつけて離さず、それがこのドラマを盛り上げていったのです。

彼女が冷静さを失ったのは、ジェハに対してだけ。
ユジンのジェハに対す無償の信頼。
ジェハは、そんな彼女を憐憫と同情の気持ちで守り抜く戦士となったのでしょう。
聡明で行動力もあり、お金もあるユジンの人生が、どんなに孤独で寂しい人生だったのか。
そんな彼女が初めてジェハに対して抱いた感情は、共存関係の信頼と愛だったのではないでしょうか。
魔女が忘れていた、若かりし頃の恋心だったような気もします。
「ジェハを守りたい、絶対に死なさせない」という感情は、自分も生き抜く力ともなったのでしょう。

ジェハが死んだら、彼女は精神の破綻をきたしてしまったかもしれません。
結末は、ユジンが死に、ジェハは生き抜いた。

物語の結末は、魔女は死に、ナイトと姫は生き残りました。美しい魔女のまま彼女はこの世を後にしたのですね。

アネモネの花言葉には、ギリシャ神話から悲劇のヒロインが姿を変えられたというエピソードが由来しているそうです。その恋は哀しい恋であり叶わぬ恋でした。でもそのヒロインの純粋な恋心やまっすぐな気持ちがアネモネの花の色合いに反映しているそうです。
「赤」君を愛す「白」真実 「青」信じて待つ 「ピンク」希望

自分を愛さない夫に自分の運命をかけて尽くすほど、愛を一途に全うしようとした魔女とその魔女の城「クラウドナイン」から魔女を連れ出そうとした狼の物語でした。

 

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