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「空港へ行く道」 心に染み入る映像美のドラマ

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空港へ行く道 On the way to the airport  全16話(2016年 KBS)

「空港」とは人と物が行き交う場所。そこに行く道は、誰かに会いに行く道であり、誰かと別れに行く道でもあるかもしれない。

夫があり、妻がいる二人の男女の「愛」の物語=それは「不倫」というカテゴリーに分類されるだろう。

不倫の物語というと「恋に落ちて」「マディソン郡の橋」カトリーヌ・ドヌーブの「昼顔」、渡辺淳一作家の「愛の流刑地」「失楽園」、テレビドラマでは「金曜日の妻たちへ」忘れられません。
韓ドラでは「密会」です。

この「空港へ行く道」と「恋に落ちて」の見終わった後の余韻と感想が、なんとも似ています。
と言っても、「恋に落ちて」は1984年のアメリカ映画です。プラトニックな不倫映画でしたね。
大人の「純愛映画」という表現もありました。古い言い方ですね(笑)

「空港へ行く道」もプラトニックな純愛のドラマです。「大人のラブストーリー」
「いくつになっても恋愛感情って素敵なんだよ」と感じさせてくれるドラマです。

キャスト

キム・ハヌル(チェ・スア役)
イ・サンユン(ソ・ドウ役)
シン・ソンロク(パク・ジンソク役)
ソン・ミジン(チェ・ヨジン役)
チャン・ヒジン(キム・ヘウォン役)


 

キム・ハヌルさんとイ・サンユンさんのコンビがすごく良かったです。

キム・ハヌルさんは「紳士の品格」の時は、なんか超ミニでキャピキャピした女性のイメージがあったのですが、こちらの役の方がぴったりという感じがしました。とても綺麗な方なのですが、カメラワークによってはただのおばさんに見えることもありました。でもリアリティーがあった。仕事と子育てに追われる客室乗務員という雰囲気がすごく伝わってきました。それにも増して厄介な夫がいる。そんな日常生活の中で、ふとした出会いから芽生えた感情を「恋」だと実感する必然性のある展開に彼女の好演がインパクトを与えたと思っています。韓国は少し前までは、女性の不倫は許されないものでしたから。イ・サンユンさん、静かに寄り添ってあげながらしっかりと守る王子様ソ・ドウ役にぴったりでした。「いとしのソヨン」でもそういう役柄でしたが。

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モネの作品のような繊細で美しい映像美と色彩の魔術師のような色合い。光の画家とも呼ばれたモネです。カメラワークと画像処理が素晴らしかったのでしょうね。
この作品の監督はキム・チョルギュさん、「夏の香り」のPDもやられた方なんですね。ユン・ソクホ監督さんの影響も受けていられるのかな?「ファン・ジニ」の演出もやられている。芸妓さんの衣装の鮮やかさに見とれました。
この作品でも、スアとドウの衣装も色合いを揃えて押さえて静けさの余韻を楽しむ雰囲気を醸し出させているように感じました。キャビンアテンダントの真っ赤な衣装とは対照的に。

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ロケ地の素晴らしさも見逃せません。ドウの自宅は、韓国の登録文化財になっている巨匠チャン・ウクシン画伯のアトリエなんですね。「ソウルの稀に見る景色」とドウが言ったドウの事務所から見る朝焼けの美しさ、今までに見たことのない済州島の美しさも再確認しました。監督は「パラダイス牧場」でも済州島でロケしていますものね。

ドウの母親は、伝統工芸のメドゥプという組み紐で作る飾り結びの伝統工芸の職人さんですが、その作品や、チョガクボというやはり伝統工芸のパッチワークもインテリアに生かされていますね。

キム・チョルギュ監督は、”感性職人”とも呼ばれているようですが、納得です。

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スアとドウはお互いに癒しあえる関係の愛を育てています。求める愛、触れたくなる愛、ずっと共にいたい愛を前面に押し出すのではなく、まずはお互いがお互いを癒し合う愛。その二人が共に過ごす場所が、心に染み入るような場所、風景なんです。本当になにか人間としてこんな素敵な男女の関係を持ちたくなりようなドラマ構成です。でもこんな愛は、まさにファンタジー、ヒーリングなワールドような気もします。

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キム・ハヌルさんは、揺れ動く気持ちをさりげなく演じられて素敵でした。彼女の生き方に共感出来るからこのドラマは不倫のドラマではなくなります。
自分勝手になんでも決めてしまう夫を持ちながら、仕事も母親業も両立させて頑張っているスア。それを愛だと思っているようなスアでもありました。きっとCAとしても明るくテキパキお客様に対応できる彼女は、良妻賢母型の女性のようでしたね。夫に振り回されてグタグタになっても、「小さな幸せのある毎日」を大切にしなくてはといつも自分に言い聞かせて頑張っているスア。
彼女がドウに対する気持ちが「恋」と気がつくのには時間がかかりませんでしたが、「恋」ではなくともに「別れたくない人」「失いたくない人」という気持ちが最初は強かったようです。やはり夫以外の男性に揺らぐのには抵抗があったのでしょうか。「三無関係」をドウにお願いするあたり、なんか可愛いですよね。三無とは、「期待しない」「触れない」「別れない」
その三無関係をドウは面白がって受け入れていますよね。

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スアは、娘の留学を勝手に決めた夫に怒るよりも、娘が無事に生活できることを考える母親です。でも娘のルームメイトであるドウの娘アニーが事故で亡くなる。その場にたまたま居合わせたスア。不安になる娘を連れて韓国に戻ったときに初めて夫に対して抵抗します。そこからがこの夫婦の亀裂が表面化してしまうのです。大きな亀裂が入ると、過去のさもないことでも問題になってしまう。夫婦って所詮は他人同士、だからこそ相手の立場に立って考えてみるような心の余裕がないとうまくいかない。スアの夫や、ドウの妻へウォンのように大事な時に、自分の立場からしか物事が見れない配偶者だったらもう終わりですね。

スアは、本当に不器用なタイプ、へウォンのように計算高い女性ではない。
ドウが気になって彼の母親の伝統工芸宅を訪ねたりするのですから。もしかしたら妻のへウォンに合うかもしれないのに。
ドウの事務所にも行きましたよね。危うくへウォンとかち合いそうになりました。でも「ドウは妻が来るから落ち着いてください」なんてスアの手を握ります。この時のドウはすでに心は決まっていたんでしょうね。スアはまだ、自分の気持ちの整理がついていませんでしたから。

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でも自分の気持ちにはっきり気がついてからははっきりとした行動に移しましたね。でも娘を守る気持ちが一番でしたが。

「恋に落ちるのは一瞬」だとこのドラマでもわかりますね。急速に惹かれ合うスアとドウ、いけないと思いながらお互いの感情を抑えきれなくなった頃に周りが気がつき始めます。でもスアもドウも自然な感じでそこを乗り切った感じがします。演技者二人の人徳でしょうか。とても二人の心情描写が丁寧だったせいもあると思います。

この二人の関係を、それぞれの妻と夫との関係性を相性を対比させながら、こうなるにはこうなるだけのことがあるとはっきりと見せ付けたのがこのドラマを不倫ドラマで終わらせなかったのだと思います。「こういう状況ならば、この男性を女性を愛してしまいそう。」というリアリティーとか共感できるものを与えたのです。

このドラマを見ていて、11話以降に流れた素敵にアレンジされた「別れの曲」を聞くと、「えっ!」なんでと不安になりました。でもこのメロディー、流れる水流を感じるのです。これからも色々とあるだろうけれど、ずっと流れ続けていくような、その先は流れるように歩いて欲しい。二人の人生を大切にして流れ続けて欲しいという願いにも近い気持ちになりました。

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15話、16話、最終話って怒涛の流れになるか、急にまとめに入るドラマが多いですが、このドラマはやはり穏やかにじっくり最後までぶれませんでした。スアもドウも別れはお互い夫婦の問題として解決して行く道をとります。確かにドウの離婚への過程はスアとの出会いと直接には関係していない。スアの離婚はドウが現れなかったらきっと彼女は夫の言う通り、夫婦の問題を克服しながら耐えて夫に従っていったでしょう。夫ジンソクがスアに「この問題は選択ではなく、克服することだ」と言いますが、スアは壊れている夫婦に選択はないとはっきりと言います。出会い、別れることはたくさんあるけれど、出会い、暮らし、別れるのは辛いというようなセリフがありましたが、ズーンときます。
本当に強い今まで耐えていたスアの自己主張に、夫はたじろくばかりです。スアは娘の幸せのために娘との別れを決意します。娘は母スアの幸せを思い父とのニュージーランド行きを決めたと思います。アニーにしろスアの娘にしろ、こんな親思いの賢い子供っているのかしら?

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イ・サンユンさん、建築学科の非常講師でした。ただ、彼の仕事がよくわからなかった。スアの仕事ぶりはしっかりと描かれてたけれど、ドウは芸術家のような雰囲気でしたね。そして物事を一面からだけ見るのではなくて多角的に見られる人間。器が大きくて広い人間に描かれていましたね。
そして無邪気なようでいて、けっこう積極的にスアに迫るところも胸キュンなところですよね。
揺れ動くスアをしっかりと受け止める大人の男を好演したサンユンさんですね。彼の演技力は、子供のような澄んだ目と笑顔で女性を安心させながら、口説ける演技ができるところではないでしょうか。その口説き方もちょっと優しく柔らかに触られるような感じです。きっと穏やかな性格の方ではないのかな〜と思いこんでいます。

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ドウのシャツや、カーディガン、コートの色合いがアースカラーなのがさりげなくて素敵でした。

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そんなこのドラマの中で、スアの親友のミジンが気になりました。彼女のスアの夫ジンソクとの昔の関係、今の仕事上の関係の中でも自分を見失わずに、懸命に生きている姿がいいな〜。スアの夫ジンソクは、妻には家庭を守る妻でいてほしいタイプですから。ミジンは自分がそうなれないタイプの女性だとわかっているからジンソクから離れたんでしょうね。でも好きなんだと思いますよ。強くて純粋な賢い女性です。

 

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それに比べて、ドウの妻、ヘウォンは、仕事のためには嘘を平気でつく女性です。ドウの母親のメドゥプ職人の伝統を守り続けるための仕事に頑張っている姿は、周りからは評価されているようです。でも彼女の過去からもわかるように自分勝手な女性なんだと思います。13年前に、陶芸を学ぶ男との間に娘をウヌ(別名アニー)が生まれますが、自分の人生には娘を育てるという予定はなかったのでしょうね。父親である男に預けて自分の人生を生き続けたのです。どのようにしてドウの母親の仕事を手伝うようになったかはわかりませんが、その過程でしっかり実力も身につけていったのでしょう。そしてこの世界で生き残れる光が見えたのです。それが娘ウヌが突然彼女を頼ってきたのです。はじめは困った彼女ですが、その娘にドウが優しく接する様子を垣間みて、「シングルマザーでウヌを育ててきた」と嘘をつくのです。ウヌの父親はガンで死んでしまいます。どうしてヘウォンをドウが愛したのかは最後まで見てもよくわかりませんでした。

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一つだけ、感じるのは、ドウの愛って全ての人に対しても与えるような大きな愛のような気がします。だから、ヘウォンが娘の死を最後まで冷たく処理した姿、自己愛の塊を見てしまった時にものすごく寂しかった。もしその時にへウォンが真実を伝えれば、ヘウォンを許したと。娘の悲しみを共有できればこんな結末はなかった。自分の本当の娘でないのはスアも同じです。でもスアは本当の娘を亡くしたように悲しみ、その悲しみから立ち上がれるように寄り添ってくれた。ふっと心を癒してくれた、寂しさから人生の空しさに光を灯してくれたスアに惹かれたのではないでしょうか。

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シン・ソンロクさん、「星から来たあなた」以来でしたが、なんかこんな偏った男性の役柄ばかりですね。この作品も国際線のパイロットで「シドニーの紳士」と呼ばれ、自信家で高慢だけれど仕事はできるかっこいい男です。でも厳格な父親に育てられたせいか、閉所恐怖症という弱い部分を持っています。しかし、母親とミジン以外は知らなかった。妻のスアにも知られていませんでした。スアと生活する時はこの症状が出なかったらしいです。でもスアとの別れを覚悟した時に、またその症状は表面化しましたね。
スアとは、上下関係のような夫婦になってしまっていました。でもこういう夫婦関係って彼だけが悪いのではないと思います。ただ彼が妻の人間性を尊重しないタイプで、妻とは母親とはこういうものだと決めつけて押し付けてくるような環境で育ったのではないかなと思っています。ミジンのようにはっきりという女性の方が彼は生きやすいと思うのですが。

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心情描写が素敵な大人のラブストーリーでした。キム・ハヌルさんの柔らかな美しさとイ・サンユンさんの穏やかさが光ったドラマです。

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